TOC と CCPMに関する本を読んだ
夏休みの読書感想文。
最近 TOC と CCPMに関する本を会社からいただいて読んだ。
また、会社での研修にも参加することができそこでも座学とワークショップで CCPM, TOC について学んだ。
これにより、スケジュール通りに品質を落とさずに、仕事を進めるための方法論をいくつか学んだ。
人間の心理的な性質
(1). パーキンソンの第1法則: 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
- ➡️ 結果として、スケジュールを長めに取ってもやることをふやしてしまい、プロジェクトの終盤になって工数がたりなくなってしまう
(2). 学生症候群 : 人は締め切り直前にならないと本気で仕事をしないという人間の行動特性
- ➡️ 結果として、スケジュールを長めに取っても、初めから本気になって仕事をしないから効率性がよくない
(3). 心理的安全性 : チームの中で 気兼ねなく安心して 発言や行動できるか?を示す言葉 どんな発言をしても決して非難されることはないという安心感
- ➡️ チーム内でこれが低いと, 例えば, スケジュール通りに終わらないと、怒られるという恐怖から、サバ読み工数の申請や、深夜残業や体調を崩しても終わらせようとしてしまう.
- 例. 見積もりをしてタスクを終わらせた場合…心理的な安全性が低いと…
- 見積もりよりも、早く終わった場合 : 「見積もりの精度が低い」と怒られる. 本来なら早く終わったら、良いことなので、ほめられるべき.
- 見積もりよりも、遅く終わった場合 : 「見積もりより超えている」と怒られる. そもそも、プロジェクトは「不確定」なもの. やってみないとわからない部分はある.
- 結果として、工数の鯖読みや、見積もりのばかしあいが発生し、そもそも見積もりの正確性が低下し、スケジュールの正確性も低下する
これらにより、
- ➡️ スケジュールに余裕があると、人はタスクをスケジュール通りに終わらせることができるというのは 「幻想」 ということになる。
プロジェクトの性質
- 「がんばる」だけでは、プロジェクトはうまくいかない
- プロジェクトとはそもそも、「不確定」なもの
- プロジェクトには新規性がある. (やってみないとわからない)
- プロジェクトには有期性がある. (期間が決まっている)
- +上記の人間の心理的な性質
プロジェクトマネジメントの3つの性質
- QCD(quality,cost,delivery) という制約の矛盾
- 的確な優先順位をつけられない : おおきなPJになるほど詳細を把握することが困難になる為
- かけた工数では、プロジェクトの進捗を計れない
じゃあどうするか?
以上が、「プロジェクト」、「プロジェクトマネジメント」とそれにかかわる「人間」の性質になる。
これを踏まえた上で、どう工夫してプロジェクトを進めるとよいのか?
を述べたものが、CCPMの方法論として、以下のものになる。
とくに、ここのタスクからバッファを排除し、プロジェクト単位でまとめてバッファを管理することで、個々のタスクの工数を限界ギリギリまで短くする。
これにより学生証症候群とパーキンソンの第1法則に陥ることを防いでいる。
CCPM5つの特徴
- マルチタスクを排除
- クリティカルチェーン(そこのタスクの流れが遅れたら全体が遅れてしまう部分のこと) によるマネジメント
- 個々のタスクからバッファを取り出す
- バッファの消費状況でプロジェクトを管理する
- フルキット(タスクに取りかかれる万全の状態)にして、タスクに取りかかる
CCPMの3つの心がけ
- 毎日の朝会で問題を解決する
- 後何日で終わりそうか?
- こまっていることは?
- 何か支援できることは?
- 個々のタスクの遅れを責めない
- 最も重要な課題 に対応する
感想
なんとなく自分が今までの仕事の経験でやってきた中でのうまくいったパターンが言語化されていて驚いた。自分のやり方は間違っていなかったという印象を得て救われた気分。
とはいえ、これを今すぐにチーム全体に適用しましょうというのはむずかしいので、できるところから徐々にやっていこうと思っている。
具体的には、自分のスケジュール部分だけはバッファの切り出して、まとめて管理をやってみるなどかなぁと。
講師の方とも話したのだが、やはりチームに展開するときに理論やってドラスティックに実践!というかんじではなく、ちょこちょこ細かいプラクティスをやっていって、うまくいったねー!よかったねー!でプロジェクトを終える感じらしい。
それで、より深掘りしたい方がいたら初めて理論や書籍を紹介する的なながれがうまくいっているという話を伺った。なるほどなぁ。そうだよなぁ。という感。
読んだ本
進む! 助け合える! WA(和)のプロジェクトマネジメント―――プロマネとメンバーのためのCCPM理論
- 作者: 宮田一雄
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る